26日に長野で聖火リレーが行われました。
ロンドンやパリのような激しい抗議運動なんて
ないだろうと思っていたら予想以上の大騒ぎとなった。
在日中国大使館の音頭で
大量の中国人留学生が動員されたことに辟易。
一方で、チベット問題への抗議運動について
日本のメディアがあまりにも
きちんと報道しないことにも驚く。
そして、日本の聖火ランナーの
人権感覚の希薄さときたら、もう泣きたくなるほど。
平和の五輪とか一方では言いつつ
日本の聖火ランナーのコメントはことごとく
「個人的なカタルシスが得られたかどうか」
にしか関心がなさそうに見えるスケールの小さいもの。
「長野市民とハイタッチして走りたかった」とか
北京五輪が孕む問題をよそ目に、そんなヘラヘラした
聖火リレーを世界にさらそうものなら日本の恥というものだ。
ケニアの環境保護活動家で
ノーベル平和賞受賞者のワンガリ・マータイさんは
人権の大切さを訴えることの方が重要だとして
聖火リレーへの参加を辞退した。
日本はどういう価値観を大切にしている国なのよ。
正直、不明じゃね?強いて言うなら金儲けか?
少なくとも日本の聖火ランナーの姿を見ていて
日本にはリチャード・ギアは出てこないだろうと寂しく思った。
IOCにも責任は大いにある。
IOCの前サマランチ会長は
オリンピックの理念を重視せず
むしろ商業主義を前面に押し出してきた張本人だし
今のジャック・ロゲ会長にしたってサマランチの後継者だ。
オリンピック憲章からも明らかなように
オリンピックと人権は不可分の関係にある。
「オリンピックは政治に利用されてはならない」という詭弁で
その原理から目を背けさせようとする人たちって何なのって思う。
で、日本→韓国ときて、次の聖火リレー開催地は北朝鮮って…。
もう中国がとことん嫌いになりそうですよ。
と、こういう感情論をひとまず排して
再度盛り上がりを見せている中国のナショナリズムについて
ちょっと冷静に考えてみたいと思います。
米国のシンクタンク、外交評議会による分析を訳してみました。
中国人のナショナリズムの淵源に根を下ろす
帝国主義の猛威の歴史の記憶。
欧米諸国が描くチベットが
ジェームズ・ヒルトンの「失われた地平線」に出てくる
シャングリラである一方で、
中国にとってのチベットは近代化の対象でしかないこと。
そしてその中国の近代化志向が
西欧諸国の姿勢にダブル・スタンダードを見出していること。
ダライ・ラマ14世の努力は報われるのだろうか?
そして彼の理想は実現するのだろうか?
中国の国民性は想像以上に根に持つそれだ。
ダライ・ラマが「過去の話はするな」と言いたくもなるはずだ。
和解の道は「赦し」から始まる。
ダライ・ラマは「赦し」の精神をとうの昔から備えているが
中国にはその精神を理解できないように思える。
訳してみてちょっと面白かったのは
中国人が米国大使館のウエブにサイバー攻撃を仕掛けて
ホームページに落書きしたときの言葉。
‘Down with the Barbarians!’ って(爆笑)
これ、ジョージ・オーウェルの「1984年」の中に出てくる
“Down With Big Brother!”のパクリじゃん!
なかなか洒落たことをすると少し感心してしまった。
Nationalism in China
中国のナショナリズム
Author: Jayshree Bajoria, Staff Writer
Introduction
序論
With China hosting its first-ever Olympics, the country has seen a surge in national pride. But Chinese are angry at what they see as the West trying to spoil their party. In March, anti-government protests in Tibet followed by human rights’ demonstrations during the international leg of the Olympic torch relay sparked a sharp response from Chinese both at home and abroad.
オリンピックの初の主催地となった中国は、国家の威信発揚に躍起になっている。一方で、中国人は怒っている。彼らの目には、西欧諸国が彼らの晴れ舞台を台無しにしようとしているように映っているからである。3月に起きたチベットでの中国政府に対する抗議運動に引き続き、人権擁護デモが聖火リレーを行っている各地で盛り上がっている。このことに対して、中国人は国内外で過剰反応しているのである。
Their anger has taken the form of public demonstrations, newspaper editorials, online petitions, and other Internet activism. Olympic protests in Paris during the torch relay have drawn particular ire in China and have led to calls for a boycott of French goods.
中国人の怒りは、デモや中国各紙の論調、オンライン上での抗議などの形となって現れている。パリでの聖火リレーの最中に見られた抗議は特に中国からの怒りを買い、フランス製商品のボイコットへとつながっていった。
Flaring nationalism is not new. It has been set off in instances such as the accidental bombing of a Chinese embassy in 1999 during the Kosovo War and a 2001 incident in which a U.S. surveillance aircraft collided with a Chinese fighter jet off China’s coast.
中国でのナショナリズムの高揚は、何も新しいことではない。1999年のコソボ紛争で中国大使館がNATO軍に誤爆されたときや、2001年に米軍の偵察機が中国の戦闘機と衝突したときも、中国でナショナリズムが燃え上がった。
But experts say this time the public outrage appears to be more genuine, instigated by perceived unfair treatment by the West rather than stoked by the Communist Party. This change could pose challenges not only for the West coming to terms with a rising China, but also for China’s government trying to maintain peace and stability within its borders.
しかし、専門家によると、今回の中国側の怒りは本物だという。それは、中国共産党が焚き付けたものというよりも、西欧諸国に不当な扱いを受けているとの認識に基づく怒りであるためだ。この変化は、西欧諸国にとっては中国の勃興という言葉では片づかない、また中国政府にとっては国内の平和と安定の維持というだけにはとどまらない難題を突き付けている。
A Pillar of Legitimacy
正統性の支え
China’s nationalism today is shaped by its pride in its history as well as its century of humiliation at the hands of the West and Japan. China expert Peter Hays Gries writes: “Chinese nationalists today find pride in stories about the superiority of China’s ‘5000 years’ of ‘glorious civilization.’”
今日の中国のナショナリズムは、自国の歴史への誇りと、西欧諸国と日本から受けた陵辱の経験が土台となっている。中国の専門家であるピーター・ヘイズ・グライエス氏は「今日の中国のナショナリストたちは、中国『5000年』の『栄光ある文明』の優越性を語る物語の中から誇りを見出している」と指摘する。
This yearning for lost glory is accompanied by the story of victimization in the past, a narrative central to what being Chinese today means, says Gries. China perceives itself as a victim of Western imperialism that began with the First Opium War and the British acquisition of Hong Kong in 1842 and lasted until the end of World War II in 1945, during which it suffered humiliating losses of sovereignty.
この失われた栄光へのあこがれは、過去の犠牲者としての歴史ー現代の中国人であることを意味する中核となる物語ーと不可分であるとグライエス氏は述べる。中国は、自国を西欧の帝国主義の犠牲者であると認識している。1842年に第一次アヘン戦争が勃発し、英国が香港を植民地化した。そうした状況は第二次世界大戦が終結した1945年まで続き、その間、中国は主権を失った屈辱に苦しめられてきた。
“Chinese nationalism was actually partly a creation of Western imperialism,” says Minxin Pei, a senior associate in the China program at the Carnegie Endowment for International Peace. Pei says the first surge of Chinese nationalism was seen in 1919 in what’s now widely referred to as the May 4th Movement when thousands of students demonstrated against the Treaty of Versailles’ transfer of Chinese territory to Japan.
カーネギー国際平和財団のシニア・アソシエイトであるミンシン・ペイ氏は「中国のナショナリズムが生まれた背景の一つに、西欧の帝国主義があることは確かだ」と指摘する。ペイ氏によると、中国のナショナリズムの高揚が始めてみられたのは1919年で、五四運動として現在、広く知られている出来事がそれに当たるという。五四運動では、数千人もの学生たちが、中国領土の日本への委譲を求めるベルサイユ条約に反対するデモを行った。
Some of these student leaders went on to form the Chinese Communist Party two years later in 1921. “The current Chinese communist government is more a product of nationalism than a product of ideology like Marxism and Communism,” says Liu Kang, a professor of Chinese cultural studies at Duke University. Kang says today nationalism has probably “become the most powerful legitimating ideology.”
五四運動でデモを行った学生集団のリーダーが、2年後の1921年に中国共産党を発足させることになる。デューク大学で中国文化研究を教えるリュウ・カン教授は「現在の中国共産党政府は、マルキシズムやコミュニズムのようなイデオロギーの産物というよりも、ナショナリズムの産物であるといえる」と指摘する。カン教授によると、今日の中国ではナショナリズムが「最も影響力のある正統なイデオロギーとなったのではないか」という。
After the collapse of the Soviet Union, the opening up of the Chinese economy by Deng Xiaoping in 1978, and the pro-democracy protests of 1989, nationalism was once again revived by the Chinese Communist Party (CCP), say experts. Gries writes: “Lacking the procedural legitimacy accorded to democratically elected governments and facing the collapse of communist ideology, the CCP is increasingly dependent upon its nationalist credentials to rule.” As the International Herald Tribune noted in an April 2008 editorial, stripped of Maoism as its guiding light, the CCP frequently has fallen back on nationalism as societal glue.
ソ連崩壊後、1978年から鄧小平が進めていた中国の市場開放は進展し、1989年には天安門で民主化を求める抗議運動が起こった。ここで中国共産党によりナショナリズムの再生が行われたと専門家は指摘する。グライエス氏は「政府を民主的に選出するという手続的正統性の欠如と、コミュニストのイデオロギー崩壊という事態により、中国共産党支配はナショナリストとしての信頼性に支えられるようになった」と述べている。2008年4月のインターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙の社説で指摘されていたように、中国共産党は統治の手引きであった毛沢東思想から脱却し、社会的結束の基盤としてナショナリズムに頼るようになったのである。
Beyond the party’s control, the emergence of the Internet in the last two decades has given nationalists more power to vent their anger after particular incidents. It has also brought the huge Chinese diaspora in places like Indonesia, the Philippines, Malaysia, Europe, and North America, into closer contact with those residing within China’s borders, facilitating an easy flow of information.
中国共産党支配を超えて、ここ20年におけるインターネットの普及により、中国のナショナリストたちは、ある出来事があればそれに対する怒りを発散しネット上で発散し、影響力を強めている。また、ネットを通じて中国国内にいる人たちとの情報のやり取りがしやすくなったことで、ナショナリストの影響力がインドネシアやフィリピン、マレーシア、ヨーロッパ、北アメリカなどに在住する中国人にも及ぶようになった。
“It makes it much easier for the nationalistic rhetoric,” says Pei. He says the young, urban, and educated Chinese are more nationalistic and they are the ones using the Internet. “Compared to before, the Internet has democratized opinion but this democratization of opinion is not evenly distributed and the fringe elements tend to exploit this new opportunity far more actively than the mainstream,” Pei says.
ペイ教授は「ネットはナショナリストたちのレトリックの普及を容易にさせている」と語る。ペイ教授によると、都市部に住む高等教育を受けた中国の青年ほど、ナショナリスティックな考え方を持ちやすく、インターネットを活用しているのは彼らなのだという。ペイ教授は「かつてに比べ、インターネット上には民主的な考えがあふれるようになったが、この民主的な考え方が中国人に等しく行き渡っているわけではない。ネット上の主流とはいえない情報が悪用され、主流な情報として活用されてしまっている」と指摘する。
Anti-West Sentiment
反西欧感情
On May 8, 1999, a U.S. plane accidentally bombed the Chinese embassy in Belgrade mistaking it for a Serbian arms depot, killing three Chinese and injuring several others. Protests erupted around China. The Chinese government called it a “gross encroachment upon China ’s sovereignty,” demanded an apology from the U.S. government, and asserted: “The great People’s Republic of China was not to be bullied.”
1998年5月8日、米軍の戦闘機がセルビアの武器庫と勘違いし、ベルグレードにある中国大使館を誤爆した。3人の中国人が死亡。けが人も出た。この誤爆事件を受け、中国で抗議の声が噴出した。中国政府は「中国の主権の重大な侵害である」と主張し、米政府に謝罪を求めるとともに、「偉大な中国人民共和国をいじめるな」と主張した。
Chinese nationalism was also active on the Internet at the time. In his book China’s New Nationalism, Gries writes: “deluged by e-mail from China, the White House Web site in Washington, D.C. was temporarily shut down” and “cyber-nationalists also hacked into the U.S. embassy’s website in Beijing, inserting ‘Down with the Barbarians!’ on the homepage.”
このとき、中国のナショナリズムはインターネット上でも盛り上がっていた。グライエス氏は、著書「中国の新ナショナリズム」の中で、「中国からeメールが殺到し、米政府のホームページは一時的に停止した」ことに加え、「北京にある米大使館のウェブサイトをハッキングし、『野蛮人を打ち倒せ!』との言葉をホームページに挿入した」と書いている。
In April 2001, a U.S. EP-3 surveillance plane, in what China says was a violation of its airspace, collided with a Chinese F-8 jet fighter, killing the Chinese pilot. Chinese authorities took the crew of the U.S. spy plane into custody after it made an emergency landing in China and said it would only be released after Washington issued a formal apology. The crew was eventually released after U.S. expressions of remorse over the loss of the pilot and aircraft. Experts say China's government stoked nationalism during the incident.
2001年4月、米国のEP3偵察機ー中国が言うには領空侵犯をしていたというーが、中国のF8ジェット戦闘機と衝突し、中国人のパイロットが死亡した。中国当局は、中国に緊急着陸した米国偵察機の乗組員を捕らえ、米政府から公式に謝罪があるまで拘束した。最終的に、米政府が深い反省の意を示したのを持って拘束されていた乗組員は解放された。この事故が起きた際、中国政府はナショナリズムを煽っていたと専門家は指摘する。
These incidents are not seen as isolated incidents in the Chinese view. Experts say the Chinese see them as the latest in the long series of Western aggressions against China. Pei says the Chinese feel very strongly about issues such as sovereignty and integrity of their territory because “they still have the historical memory of Western imperialism.” And so the current protests in support of Tibet in the West, the coverage of the issue in the Western media, and linking the Olympics to the Tibet issue rouses anti-West sentiment in China.
中国はこれらの出来事を別個のものとして捉えていない。専門家によると、中国は上で挙げた出来事を、中国に対する欧米からの長年の侵略行為の最近の例として解釈しているのである。ペイ教授は、中国は自国の主権と領土保全にかかわる問題には極めて敏感に反応すると語る。なぜなら「中国人は今も、西欧諸国の帝国主義の歴史を記憶している」からだという。だからこそ、今の西欧諸国によるチベットの支持と抗議や西欧諸国メディアによるチベット問題をめぐる報道、さらにオリンピックとチベット問題を結び付ける動きは、中国における反欧米感情を目覚めさせることになるのである。
On the Tibet issue, Kenneth G. Lieberthal, a professor at the University of Michigan, says the Western view is shaped by a notion of Shangri-La while the Chinese views are shaped by the assumption that Tibetans are backward, feudal, superstitious, and badly in need of modernization—Chinese style. “So I think they regard it as bizarre that the advanced industrial countries would humiliate them by boycotting the opening ceremonies of the Olympics over the Tibet issue,” he says, “as America would find it if President Hu Jintao suddenly refused to visit the United States because of our history of treatment of Native Americans.” Lieberthal says the Chinese see these anti-Olympic protests as an indication that regardless of how much China strives to become a constructive player in the world, “many in the West will never accept that, [and] will seek to humiliate them.”
ミシガン大学のケネス・リバーサル教授は、欧米諸国の見方では、チベットはシャングリラである一方、中国の見方では、チベットは遅れた、封建的で、迷信深い土地なのであると説明する。従って中国は、チベットを近代化させる必要が大いにあると考える。リバーサル教授は「中国からすると近代化された先進国がチベット問題をめぐりオリンピックの開会式への参加を拒絶し、中国を辱めるという行為が奇妙に見えるのだろうと思う。仮に胡錦濤・国家主席が突如、先住アメリカ人への処遇を理由に訪米を取り止めたら、米国人もおかしいと思うだろうと中国人は感じているのだ」と語る。リバーサル教授によると、いかに中国が世界で建設的な役割を果たしていようとも、「西欧諸国の多くはその事実を認めず、むしろその事実を貶めようとしている」と中国は考えており、北京オリンピックに対する抗議もそういうものとして認識しているのだという。
Conflict with Japan
日本との対立
Tensions between the two countries date to the 1894-1895 Sino-Japanese War, and more recently Japan’s abusive conduct during the 1931-1945 occupation of China.
日中間の緊張は、1894年から95年の日中戦争と、1931年から1945年に日本が中国を占領し、乱暴な行為に及んだことで高まった。
As this Backgrounder points out these animosities surface in recurring cycles, often involving Chinese anger over Japan’s perceived lack of contrition for wartime crimes. Instances of recent Chinese nationalism against Japan include outcries over the annual pilgrimages of former Japanese Prime Minister Junichiro Koizumi to a Tokyo shrine that contains the remains of convicted war criminals from World War II and outrage over a 2005 Japanese history textbook that has been criticized as soft-pedaling Japanese wartime atrocities. The 2005 textbook incident led to riots against Japanese businesses in cities across China.
日中間の対立の背景について詳述した論文で指摘されているように、過去の憎しみが再度表面化するのは、戦時の犯罪行為に対する日本の遺憾の念が感じられないことに中国が怒ったときである。中国のナショナリズムが日本に対して高揚した最近の例としては、小泉前首相の靖国参拝に対する批判や、2005年に日本の歴史教科書で扱われている日本の戦時の残虐行為についての表現の緩和に対する非難の声が高まり、中国に進出した日本企業に対する暴動に発展したことなどがある。
Edward Friedman, an expert on Chinese nationalism at the University of Wisconsin, says when Deng Xiaoping came to power in 1977, “anti-Japan nationalism became a great legitimating glue to hold the society together, eventually ending up in the really ugly April 2005 anti-Japan racist riots in China.” But under the administration of Hu Jintao, China has sought better relations with Japan.
中国のナショナリズムを専門とするウイスコンシン大学のエドワード・フリードマン教授によると、1977年に鄧小平が権力の座に就いたときは、「反日ナショナリズムが社会の結束を強める正統な根拠とまり、最終的には2005年4月の中国で起きた、あの見苦しい反日暴動となった」という。しかし、胡錦濤が国家主席となると、中国は日本との関係改善の道を模索し始めた。
Experts say outbreaks of virulent nationalism can become a problem for the Communist Party. Fareed Zakaria, editor of Newsweek International writes, “in the past they have stoked anti-Japanese and anti-American outbursts, only to panic that things were getting out of control and then reverse course.”
専門家は、敵意に満ちたナショナリズムの高揚は、中国共産党にとって悩みの種でもあると指摘する。ニューズウィーク・インターナショナル誌の編集者であるファリード・ザカリア氏は「かつて反米・反日感情を焚き付けて起こした暴動は結局、統制が効かなくなり、路線を転換せざるを得なくなった」と書いている。
Unwarranted Focus?
中国のナショナリズムをめぐる定まらない焦点
Lieberthal says since the 1989 Tiananmen massacre, China is regularly blamed for abuses on a wide range of issues. “I think that it is not only nationalism in China that gets more attention. It is almost everything in China that gets more attention,” especially if they are negative. He says Chinese nationalism is a “natural outgrowth of (China’s) recent accomplishments and very unhappy narratives.”
リバーサル教授によると、1989年のチベットでの虐殺以来、中国はチベット問題が広く悪用されることに対して定期的に非難してきた。リバーサル教授は、特に中国が後ろ向きな姿勢を見せている場合は、「中国でのナショナリズムだけが注目されているのではなく、中国でのすべてのことに注目が集まっているということだ」と指摘する。リバーサル教授は、中国のナショナリズムについて、「中国が近年成し遂げてきた業績とこれまで体験してきた不幸な出来事から自然に生成されてきたものである」と解説する。
From the Western perspective, Pei says fears regarding Chinese nationalism spring from the negative feelings toward the communist regime. “Somehow they believe the political system in China is not legitimate,” he says.
一方、ペイ教授は、西欧諸国の視点からすると、中国のナショナリズムをめぐる不安は、共産主義体制に対する否定的な感情に基づくものであると指摘する。ペイ教授は「西欧諸国は中国の政治システムが正統なものではないと感じている」と述べる。
Lieberthal says nationalistic protests are a combination of genuine popular outrage and government manipulations to let that protest grow, which often helps the Chinese government’s bargaining position as that incident is negotiated with the offending party.
また、リバーサル教授は、中国のナショナリスティックな抗議は、純粋に大衆の怒りが表現されているものと、中国政府が焚き付けて盛り上げているものが混同していると指摘する。中国政府の工作で行われている抗議の場合、中国政府は法律に違反した行為に及んだ当事者との交渉人としての立場も併せ持つという。
A Double-Edged Sword
諸刃の剣
Beijing’s top priority today is to maintain peace at home while pursuing its development goals and a greater role in global affairs. Experts say while nationalism may be an effective tool for the Chinese regime to maintain control at home, it can harm its claim of “peaceful rise” globally.
中国政府の最優先事項は、自国の発展と国際社会における役割を拡大させつつ、国内の安定を維持することである。専門家は、中国の体制維持を国内で確保するにはナショナリズムを利用することが有効かもしれないが、それはまた、中国の宣伝文句となっている国際社会における「平和的台頭」の妨げにもなり得ると指摘する。
Pei says nationalism is certainly an obstacle in China’s image as a responsible stakeholder. “A very nationalistic public makes foreigners very wary of China and harms China’s image,” he says. Domestically, too, excessive nationalism poses problems for the authoritarian government.
ペイ教授は、ナショナリズムが中国の責任ある利害関係者としてのイメージを傷付けていることは確かであると述べる。ペイ教授は「中国のナショナリズムがあまりにも公になると、外国人は中国を警戒し、結果として中国のイメージを損なうことになる」と語る。国内的にも、過度なナショナリズムの高揚は、独裁的な政府にとって深刻な問題となる。
The government takes great care to suppress ethnic nationalism among its minorities such as Tibetans and Uighurs who are denied the right to establish separate states. Nationalism in Taiwan, too, is seen as a threat by Beijing, which hopes to unite with the island someday.
中国政府は、独立を否定されているチベットやウイグルの少数派の民族主義を抑え付けることに余念がない。いつかは中国の一部として統合しようとしている台湾でのナショナリズムの高揚も、中国政府にとっては脅威である。
The Chinese leaders also fear nationalism could turn against them in the form of criticism if they failed to deliver on their nationalistic promises. New York Times columnist Nicholas D. Kristof writes: “All this makes nationalism a particularly interesting force in China, given its potential not just for conferring legitimacy on the government but also for taking it away.”
中国の指導者層は、ナショナリスティックな約束を果たせなかった場合、国内でのナショナリズムの高揚による怒りが、自分たちに向けられた批判へと形を変えることも恐れている。ニューヨーク・タイムズ紙のコラムニストであるニコラス・クリストフ氏はこう綴る。「中国において、ナショナリズムは特に興味深い影響力を持つ。ナショナリズムは単に中国政府の正統性を支える潜在的な力となり得るだけではなく、逆に政府から正統性を剥奪することもあり得るのである」と。
1 件のコメント:
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